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スペインがオランダに大敗
B組み予選リーグ第一戦、スペインがオランダに1-5という大差で敗れました。
スペインは大きな大会ではスロースタートなことが多いですが、今回はスロースタートとか言うレベルの負け方じゃありません。
まさか5点も取られるとは・・。
なぜスペインがオランダにコテンパンにやられたのか、その理由を考えてみたいと思います。
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スペインが大敗した5つの理由
オランダの5バック作戦
オランダのファンファール監督はスペインの最強のパス回しを封じる為に選んだ作戦は5バックでした。
スペインが攻めあがって来たときには、両サイドのMFが最終ラインにまで下がることでもともとの3センターバックと合わせて5人で最終ラインを形成していました。
ただし、単純に5人でゴール前を固めるのではなく、スペインの3トップであるイニエスタ、ジエゴ・コスタ、シルバがボールをもらいに下がった時はマンマークで付いていきます。
スペイン自慢のパス回しの肝は、トップの選手が中盤に下りてきてパスを受けることです。
トップの選手が中盤にあるわずかなスペース(相手の選手と選手の間)に下りてきて、フリーでボールを受けてさばくことからリズムが生まれます。
ファンハール監督は、そのボールを受けに下がるトップの選手を徹底的にDFに追わせました。マンマーク状態です。
もともと最終ラインに5人配置しているので1人付いていっても4バックです。4人いればそう大きな穴は空きません。(逆に4バックの場合、1人釣り出されると最終ラインに大きなスペースが空いてしまいます。)
そして、この5バックはただ守る為だけのものではありません。
守備ブロックを作るのは5バック+2ボランチ+トップ下(スナイデル)の8人。残りの2人ロッペンとファンペルシーは前線に残したままです。
この二人が両サイドトップに開いて、味方がボールを奪い返してくれるのを待っています。
ロッペンとファンペルシーは共に独力でシュートまで行くことができます。
この二人が前で待っていると思うだけで、スペインからしたら攻めていても常に背後を取られているような怖さがあったかも知れません。戻って守備をされるより遥かに怖い存在だと思います。
ボランチ3人の同時起用
いつもはボランチに入っているシャビが、この日はトップ下に入っていました。
これはボランチが本職のブスケツ、アロンソ、シャビの3人を同時起用した為です。
中盤はある程度流動的なので、シャビがボランチに入ってアロンソがトップ下の位置に入ることもありました。
いずれにせよ、ボランチが本職の選手がトップ下の位置に入るわけです。
言うまでもなく、トップ下の重要な役割は、チャンス時には積極的にゴール前に飛び出してFWの如くフィニッシュに絡みに行くことです。
しかし、このシーンを見てください。
スペインの先制点のPKとなったシーンなので、結果的には良かったのですが、シャビの動きに注目です。
シャビからジエゴ・コスタに決定的なスルーパスが通りました。パス自体はさすがシャビ!と言える最高のパスでした。ファンタスティックです。
けど、パスを出した後のシャビ、完全に歩いちゃってるんです。
本職のトップ下なら、シュートを狙えるゴール前に全力ダッシュしているはずです。当然の仕事です。
しかしトップ下であるシャビが入っていってないのでゴール前には誰もいません。
これではパスをもらったジエゴ・コスタは独力突破しか選択肢はありません。守る方も守りやすいです。結果的にはジエゴ・コスタが絶妙な転び方でPKをゲットしました。余談ですが、コスタのこけ方めっちゃ上手かったです。w
デルボスケ監督は、器用なシャビならトップ下でも問題ないと思ったのかも知れませんが、やっぱりシャビはボランチの選手だと感じました。ボランチなら闇雲にゴール前に突っ込むより、後ろに残っている方が分厚く攻撃できると言えます。
シャビ、ブスケツ、アロンソ、それぞれは超一流のボランチですが、3人同時起用となるとやはりゴール前の迫力は欠けてしまいます。
次戦では、ブスケツかアロンソの替わりにビジャをスタメンで使って、ビジャを左FWに置いてイニエスタがトップ下に入るんじゃないかな?と予想。
ポゼッションに対する過信
スペインのポゼッション能力は世界最強です。
スペインが中盤でボールを回し始めたら、相手はなかなかボールに触らせてもらえません。
しかし、もちろんそれは100%ではありません。絶対ボールを失わないかと言えばそんなことありません。
もし中盤でボールを失った時の為に最終ラインは常に警戒を怠ってはいけないです。その為の最終ラインです。
ところが、この日のスペインの最終ラインはあまりに危機感が足りませんでした。
これは前半7分、オランダのDFが中盤に浮き球のパスを放り込んで、ヘッドの応酬みたいな混戦状態から、ロッペンの足元にボールが収まってしまったシーン。
センターバックのピケが前につり出されてしまっていたので、最終ラインはもう一人のセンターバックのセルヒオ・ラモスと右サイドバックのアスピリクエタだけになってます。
どっちのボールになるのか分らないフィフティフィフティの状態で、こんな無警戒な最終ラインありえません。右サイドバックのアスピリクエタは一体何をしてるんでしょうか。
目の前のファンペルシーがオフサイドじゃないのは明らかなのに、一人でオフサイドかけてるつもりなんでしょうか?どう考えてもカバーリングに行くべきでしょ。
おーい誰か早くボール足元に収めてマイボールにせーよ。とか思ってる場合とちゃうよ。
結局、このシーンはファンペルシーではなく2列目のスナイデルが猛ダッシュで最終ラインの裏を取り、完全に一人抜け出してGKと1対1となり決定的シュートまで行かれました。たまたまスナイデルのシュートがGKカシージャスの真正面だったので助かりましたが、決まっていても全然おかしくありません。
これは一例ですが、どうも中盤で相手にボールを取られた時に、最終ラインが全然準備していなくてピンチになるシーンが多かったです。
どんなに中盤でボールをつなぐ技術があっても、後ろが気を抜いていいわけありません。長らく世界一と言われ続けているスペインは自分たちのポゼッション能力を過信しているのではないでしょうか?
カシージャスの不調
果たして不調なのか、身体の衰えなのか、気持ちの問題なのか、守護神として長きに渡ってスペインゴールを守ってきたカシージャスが明らかにおかしい。
今シーズンはリーグ戦でもほとんど出場しておらず(カップ戦のみ出場)、問題を抱えているのは明らか。
おそらくデルボスケ監督はそれでも、スペインのキャプテンとしての彼の力を信じて、そしてチームへの影響を考慮して、彼をスタメンに抜擢したのだと思います。
しかし、カシージャスの神通力は残念ながら尽きてしまったように見えます。おそらく次戦以降は、デ・ヘアで行くでしょう。この大量失点のショックを断ち切るにはそうせざるを得ないです。
セルヒオ・ラモスの燃え尽き症候群?
どうもラモスの表情が冴えません。
ラモスとカシージャスが所属するレアルはつい先日、CL決勝でアトレティコを下し優勝しました。
CLでのラモスの迫力はすごかったです。テンションマックスでした。ワンピース風に言うと覇王色の覇気が出ていました。
しかし、この日のラモスはなんだか腑抜けのようでした。
今シーズンのレアルでの激闘で燃え尽きちゃったのか?祝勝会で飲み過ぎたか?
オランダの1点目、ファンペルシーのあのフライングダッチマン的ダイビングヘッドが決まったクロスが上がるシーンを見てください。
オランダの左サイドのブリントがこの位置でドフリー。これも相当マズイのですが、そんなフリーでクロスを放り込んでくる可能性のある危険な状況で、ラモスのこのポジショニングは裏取って下さいと言ってるようなもの。。
結果的に思いっきり裏を取られてフライングダッチマン。もちろんあのヘディングを決めたファンペルシーも素晴らしかった。
もう一つ、
オランダの2点目のシーンも、左サイドからのクロスでした。
今度はロッペンが抜群の動き出しで、マーカーのピケを振り切ります。ロッペンの走るコース取りと緩急の付け方が抜群でした。ロッペンが急加速してピケを振り切ろうとしている瞬間の映像がこちら(オランダが右向きに攻めてます)。
ピケが目の前で振り切られようとしているこの危機的状況に、相方ラモスは何をしているかと言うと、まあまあチンタラしてます。
どうもおかしい。全然集中してない。
覇王色の覇気が出ている時のラモスなら、クロスを上げられるのを察した時点で全力疾走でロッペンをつぶしに行ってるはずです。
結果的に、ロッペンはまんまとピケ&ラモスの間でボールをトラップすることに成功。体を投げ出してシュートコースを消しに来るピケ&ラモスをドリブルで振り切ってゴールです。いとも簡単です。
ラモスがこんな調子だと守備が持ちません。そして何よりチームの士気に関わります。
プジョルが居ない今、後ろからチームに火をつけられるのはラモスしかいません。
一人で燃え尽きてる場合じゃないぞラモス!!
立ち直れるかスペイン
衝撃的な敗戦ではありましたが、まだ1試合が終わっただけです。
修正できるところは修正して、スペインらしい美しいパスサッカーを見せてほしい。
分ってるねデルボスケくん、イニエスタをトップ下で使うんだよ。