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U-17に学ぶ日本代表の方向性

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U-17に学ぶ日本代表の方向性

 U-17日本代表が素晴らしいサッカーで強豪ロシア、ベネズエラにそれぞれ1-0、3-1で勝利し、世界を驚かせている。
 まだまだ未成熟な若い世代とは言え、彼らの戦い方はA代表も見習うべき部分があると思う。
 とりあえずハイライト動画をどうぞ。

ロシア戦、ハイライト

ベネズエラ戦、ハイライト

U-17日本代表の戦術

 基本布陣は4-3-3。
u17
 守備時はワントップだけを前に残して両ウィングが下がって4-1-4-1のような形で守備ブロックを形成。
u17_d
 特徴的なのは攻撃時、つまりマイボールになった時の3トップの動き。
u17_a
 マイボールになるとワントップが中盤に降りてきて、両ウィングがそれと入れ替わるように前に出る。
 ワントップをマークしていた相手CBは、DFラインの中央を空けるわけにもいかないので、放置プレー状態になります。
u17_a1
 チェックするべき相手に逃げられたCBは付いて行くわけにもいかず、とりあえず真ん中に陣取ったまま日本のボール回しを見守ることになります。さらに両サイドのウィングが常にSBの裏のスペースを狙っているので、SBは最終ラインに釘付け状態。つまり、相手DFライン4人を、両ウィングの2人がワイドに外に引っ張りながら下げさせることで、結果的に中盤以下では2人多い数的有利な状態を作れるというわけです。
u17_a3
 8人に対して6人でプレスをかけても、そうそうボールを奪えるものではありません。中盤で数的有利を作って、細かいパスを回しながら落ち着いてボールを保持する。これが彼らの攻撃のリズムを生みます。その為の第一手がワントップが中盤に引いてくるという動きなんだと思います。

相手の守っていないところを攻める

 このチームの監督である吉武監督は、選手たちに『相手がどこを守っているかを見極めろ!相手が守っていない場所を攻めろ!』と常に言っているそうです。相手守備の薄いところ薄いところにボールを運ぶ。口で言うのは簡単ですが、全員が広い視野でピッチ全体を把握して、連動しながらボールを動かすというのは非常に高度なことです。
 ベネズエラ戦の先制点はその意図通りに崩しきった見事な形でした。
u17_1_1
 日本代表が左サイドから崩しにかかった場面。
 相手守備陣は全体的にボールサイドにぎゅっとプレスをかけて8人でゴールに蓋をしています。
 この時点で、おそらく日本の攻撃陣は逆サイド裏のスペースで勝負するという意識を持っているんだと思います。
u17_1_2
 ゴールへの最短距離はしっかり蓋をされているので、ボールはここから素早く迂回ルートを辿ります。
 一旦、後ろに下げて、
u17_1_3
 横パス。
u17_1_4
 ちなみにこの横パスをしたのがワントップの杉本です。ここから最終的にゴール前に詰めてシュートを決めるのはこの人なので、相当自由に動いてますね。ワントップのことをフリーマンと呼ぶのもうなづけます。
 そして狙っていたスペースへスルーパス。
u17_1_5
 このスルーパスが左足でカーブをかけた絶妙なパスでした。受け手の走り込むタイミングも完璧。スペースがあるからと言ってすぐに入っていくのではなく、あえて空けておいて然るべきタイミングでそこに入っていく、素晴らしいセンスです。
 この一連のパスが全く澱みなく迷いなくつながるのは、皆で同じイメージを共有しているからだと思います。
 この後は、このスルーパスを受けた選手がGKとDFの間に速いボールを入れていとも簡単に先制ゴール。

 ポイントは、誰かが個人プレーで左サイドをぶち抜いてクロスを上げるのではなく、『相手に左サイドを守らせておいて素早く守備の薄い逆サイドにボールを運ぶんだ』という意図を攻撃陣が共有しているということです。
 一つ一つのパスやシュートは、決して超一流の技ではありません。左サイドの密集地帯をドリブルで抜くには超一流の技がいりますが、数人が連動することで普通のパス数本で8人もの守備ブロックを無力化することに成功したわけです。

見習うべきところ

 A代表でも得意の左サイドから崩す場面が多く見られます。崩しきれない時は一旦ボールを下げて組み立てなおすこともあります。
 しかしA代表の場合、一旦ボールを下げて文字通り1から組み立てなおすことが多いように感じます。せっかく相手の守備がボールサイドに寄ってバランスを崩しているのに、ただボールを失わないように安全地帯に下げるだけでは、相手守備陣にバランスを取り直す時間を与えることになります。
 相手によっては、日本のストロングポイントである左サイドを重点的に守ってくることもあると思います。そんな場合は、初めから左サイドはおとりのつもりで、相手守備陣を左におびきよせてから、右サイドに素早くボールを運んで、右サイドからクロス、左サイドの選手がゴール前につめてフィニッシュというような、左右の大胆な揺さぶり、懐の深さをU-17に見習ってもらいたいところです。

 柿谷のような当たりに弱いタイプがワントップの場合、上述の4-3-3のやり方は持って来いです。屈強なCBはとりあえず放置プレーでいいんですから。柿谷に世界のデカいCBを背負ってプレーしろと言っても無理な話です。柿谷のボールコントロールの巧さは、中盤のパス回しにどんどん参加した方が生かされます。
 ただし、ザックジャパンのこれまで培ってきた4-2-3-1とは全体として違いが大きいので、人選を含めてチームを根底からひっくり返すことになる可能性があるので、大きな方向転換は判断の難しいところです。
 個人的には全然結果の出ない3バックにこれ以上トライするよりも、この4-3-3をものにする為に時間を割いた方がいいとは思います。ザックは『3バックをやりたいわけじゃなく3トップをやりたい』と言っているらしいので、慣れない3バックを無理矢理取り入れるより、4-3-3の3トップの方がまだマスターしやすいかも知れませんよ。

日本代表の未来

 このU-17の選手たちはボールの扱いがめっちゃ巧いです。体は小さい選手が多いですが、正直、シュートのパンチ力なんかはA代表の選手を超えてるように見えます。ロシア戦で決めた瓜生くんのミドルシュートなんて、とんでもないです。遠藤にはあのシュートは打てないでしょう。
 その辺の個人技術は年々レベルが上がっている感じですね。今後、しっかりした個人技術をベースに、若い年代から組織で崩す意識を植え付けていけば世界の強豪相手にでも充分戦えるんじゃないかな?と妄想は膨らむばかりですが、実は妄想だけならもう15年ぐらい前から既に膨らんでいます。。
 日本の選手は10代がピークなのか?っていうぐらい伸び悩む選手が多いですよね。選手だけでなくチームとしても伸び悩む・・。
 この謎の伸び悩み問題をなんとかクリアして、10代であれだけのゲームができる彼らがもっと成長してくれれば今後の日本代表は非常に楽しみです。
 若者たちよ、とりあえず東京オリンピック優勝を目指して頑張れ!
 そして、我々おっさん世代が生きてる間に、ワールドカップ決勝戦の興奮を味あわせてくれたりなんかしたらもうサイコーですのでどうか頑張って下さい。
 

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